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2021年11月09日

今年もインフルエンザには十分な警戒を。

2020-2021年シーズンは、インフルエンザウイルスの検出報告が少なく、心配されていた新型コロナウイルスとの同時流行はみられませんでした。これは、新型コロナウイルス対策として普及した手指消毒やマスク着用、3密回避、国際的な人の移動の制限などが、インフルエンザの感染予防についても効果的であったと考えられています。
今年のインフルエンザ流行は、どんな予想なのでしょう。

予想を踏まえて、しっかり準備をしていきましょう。

今年の流行の傾向は?

2021-2022年シーズンについては、今年の夏にインドなど亜熱帯地域で流行が確認されています。今後国境を越えた人の移動が再開されれば、世界中へウイルスが拡散される懸念があります。
日本では前シーズン、インフルエンザにり患した人が極めて少数であったため、社会全体の集団免疫が形成されていないと考えられます。そのようななか、海外からウイルスが持ち込まれれば大きな流行を起こす可能性もあります。英国政府では、昨年インフルエンザ流行がなかったため、今年は例年の1.5倍の大きさの流行になる可能性があるとして、ワクチン接種を呼びかけています。
日本でも、冬には新型コロナウイルスの第6波が予想されるだけに、インフルエンザ対策としてワクチン接種は重要になってきます。

ワクチンは十分にあるの?

厚生労働省「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会」によれば、今年度のインフルエンザワクチンは、例年と同程度の製造効率となっています。供給量については、平成8年以降で最大となった昨年と比較すると少なくなりますが、例年の使用量に相当する程度は供給を見込んでいます。

インフルエンザ予防ワクチンについて

インフルエンザの感染予防として、ワクチン接種は有効な対策です。
インフルエンザワクチンは感染しても発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に効果が期待できます。

ワクチン接種について

Q:新型コロナのワクチンを接種した後で、インフルエンザワクチンを接種できる?

A:日本では現時点で、新型コロナワクチンとその他のワクチンとは、どちらかのワクチンを接種してから2週間の間隔をあけて、他のワクチンを接種することになります。定められた接種間隔に沿って、接種を予約してください。

Q:どこで接種できるの?費用は?

A:地域の医療機関やかかりつけ医などで、ワクチンの接種を受けることができます。自治体によって実施期間や費用は異なります。不明な場合は、お住まいの市町村役所の窓口や医療機関にお問い合わせください。

インフルエンザ感染と新型コロナウイルス感染について

インフルエンザは、初期症状が新型コロナウイルスに感染した際と似ています。発熱やのどの痛みなどのかぜ症状や、嗅覚味覚障害、咳、だるさ(倦怠感)があります。
またふつうのカゼも、インフルエンザや新型コロナウイルス感染と、よく似た症状の場合があります。
いつもと違う体調不良を感じたら、「カゼだろう」などとご自身で判断せずに、医療機関を受診しましょう。
発熱がある場合は、地域の受診ルールに沿ってかかりつけ医などへ連絡のうえ、受診してください。
ご自分とご家族、職場の同僚などを守るたため、体調が悪いときはムリをしないようにしましょう。

インフルエンザと新型コロナウイルスの症状などの比較
  インフルエンザ 新型コロナウイルス
症状の有無 ワクチン接種の有無などにより程度の差があるものの、しばしば高熱を呈する 発熱に加えて、味覚障害・嗅覚障害をともなうことがある
潜伏期間 1~2日 1~14 日(平均5.6日)
無症状感染 10%。無症状患者では、ウイルス量は少ない 数%~60%。無症状患者でも、ウイルス量は多く、感染力が強い
ウイルス検出期間 5~10日(多くは5~6日) 遺伝子は長期間検出するものの、感染力があるウイルス排出期間は10日以内
ウイルス排出のピーク 発病後2、3日後 発症日
重症度 多くは軽症~中等症 重症になりうる
致死率 0.1%以下 3~4%
ワクチン 使用可能だが季節毎に有効性は異なる 有効なワクチンが開発され、予防接種法に基づく臨時接種が開始された
治療 オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラニナミビル、バロキサビル マルボキシル 軽症例については、確立された治療薬はなく、多くの薬剤が臨床治験中
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の合併 少ない しばしばみられる

日本感染症学会「インフルエンザ -COVID-19 アドホック委員会」:日本感染症学会提言「今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて」(2020.8.3)より引用

ワクチン以外の予防策は?

ワクチン接種に加えて、他にも予防対策があります。インフルエンザを予防するには、ふだんから身体の免疫力を高めることが重要です。ストレスや疲労をためず、規則正しい食事を心がけましょう。

【日常でできるインフルエンザ対策】

栄養と休養を十分にとる

寝不足や不規則な生活などに注意し、体力をつけましょう。また、複数の栄養素をバランスよく摂れる食事で、体の中から抵抗力を高めます。

室内の湿度を保つ

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

人ごみを避ける

なるべく人混みや繁華街への外出を控えましょう。出かける場合は、ある程度飛沫感染などを防ぐことができる不織布製マスクを着用しましょう。

外出後の手洗いとうがいを徹底

手洗いは接触による感染を予防し、うがいはのどの乾燥を防ぎます。マメに行いましょう。

【政府広報オンライン インフルエンザの感染を防ぐポイント】

特に注意が必要な人は?

インフルエンザにかかった場合、重症化しやすいハイリスクグループには以下のような方が当てはまります。
これらに当てはまる方は、生後6か月以降で接種が禁忌でない場合はワクチン接種を推奨します。
かかりつけの医師に相談のうえ、対応を考慮してください。

<インフルエンザのハイリスクグループ>

高齢(65歳以上)の方
小児(5歳未満)
妊娠中の方
持病のある方
  • 喘息のある人
  • 慢性呼吸器疾患(COPD)
  • 慢性心疾患のある人
  • 糖尿病など代謝性疾患のある人 など

【厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)】

【東京都感染症情報センター インフルエンザの流行状況】