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2022年02月14日
ヒートショックにご用心!
厳しい寒波がたびたび南下し、2月はまだまだ寒い日が続きます。そんな時期に注意しなければならないのが、ヒートショックです。
ヒートショックとは、室内温度の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こること。10℃以上の温度差がある場所は危険とされており、冬季は発生数が増加します。
どんなことに注意すればいいのか、家庭内を確認してみましょう。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋への移動などによる急激な温度変化によって、血圧が上下に大きく変動することをきっかけに、体に負担がかかる現象のことをいいます。
家庭内には「急激な温度差」を引き起こす場所がいくつかありますが、典型的なのが浴室です。
温かい場所から寒い場所(脱衣所など)に移動すると、体は体温を上昇させるために血管を収縮させ、血圧が急激に上昇。その状態で浴槽の熱いお湯につかると、体が温まって血管が拡張し、血圧が下がっていきます。浴槽を出て体を洗ったり、また浴槽に入ったり、血圧の急激な上昇や下降が繰り返されることが心臓に負担を与え、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こします。
また、体が温まり、血管が拡張した状態で急に浴槽から立ち上がると、ふらつきやめまいなどの原因となり、転倒や意識消失を起こしてしまうことがあります。
特に外気温が低くなる12月から2月の寒い時期は、入浴中に心肺機能停止となる人が多くなる傾向があります。
用心すべき場所、注意すべき人は?
住宅内で寒暖差の大きな場所は、浴室のほかにトイレや洗面所、廊下などがあります。部屋と部屋の気温差が激しいところは要注意です。
また、次の条件に当てはまる方は、ヒートショックの危険性が高くなりますので、注意をしてください。
- 65歳以上の高齢者
- これまでに狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、糖尿病などの病気を患ったことがある方
- 現在、不整脈や高血圧などの持病がある方
- 飲酒や食事直後にお風呂に入る習慣がある方
- 一番風呂に入られる方
- 高い湯温(42℃以上)の浴槽につかる習慣がある方
予防するにはどうする?
ヒートショックに注意が必要なのは、高齢者や持病がある方だけではありません。持病がない場合や前兆がない場合、若い方でも起こるおそれがあります。本人だけでなく、家族や周囲の方が一緒に注意することが大切です。
寒さが厳しくなると、温度差によりヒートショックのリスクが高まる可能性があります。気象予測情報なども参考にしながら、日々の対策を心がけましょう。
ヒートショックを防ぐには
1. 急激な温度変化を避けましょう
- 脱衣所をあたためる
- 夜にトイレに行くときは一枚はおる
- 布団から出る前に室内を温める
2. お風呂の入り方に注意しましょう
- シャワーを利用したり、お風呂の蓋を外しておくなどして、浴室全体を温める
- 熱いお湯は血圧を急激に上げるため、お湯の温度は40度程度に設定
- アルコールは血圧を下げる働きがあるため、飲酒後の入浴は避ける
3. 寒い冬でも水分補給をしましょう
- 水分不足は心筋梗塞、脳卒中などを起こしやすくなるため、水分摂取を意識する
- 入浴前後には水分を補給する
4. 便秘に要注意
- 排便時には血圧が急激に上下するため、自然な排便ができるように心がける
入浴中は熱中症にも注意!
入浴中の事故は、ヒートショック以外の原因で発生する場合もあります。
高温の湯に長風呂することで体温が上昇し、浴槽から出る際の脳血流減少などで意識障害が起きることがあります。そうすると浴槽から出られなくなり、その結果さらに体温が上昇し、熱中症になるケースがあるのです。
熱いお湯での長風呂は避け、入浴温度は41度以下、入浴時間は10分以内としましょう。
「寒い家」に住む人は、「熱い湯に長くつかる」傾向があるとされます。ご自宅をリフォームされる際は、健康もキーワードとして考慮されてはどうでしょうか。