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2022年08月03日

夏は脳梗塞に注意!

今年の夏も、暑い日が続いています。暑い日に注意が必要なのは熱中症…ですが、もうひとつ、用心しなければならない疾患があります。脳梗塞です。
脳血管の疾患は、寒い季節に多いイメージがありますが、脳梗塞に限れば夏期に多く発症する傾向があります。
めまいや吐き気、ふらつきなど、脳梗塞は初期症状が熱中症と似ているともいわれ、注意が必要です。

体調管理に注意して、夏を乗り切りましょう。

脳梗塞とはどんな病気?

脳卒中(脳血管障害)は、脳の血管が破れたり詰まったりして、その先の細胞に栄養が届かなくなり、それらの細胞が壊死を起こす病気。日本人の死因として4番目に多い疾患で、最悪の場合は死に至る病気です。発症した場合は例え一命を取りとめても、重度の後遺症を残す人が少なくありません。

脳卒中は血管が詰まるタイプ「脳梗塞」と、血管が破れるタイプ「脳出血」「クモ膜下出血」に分けられます。
さらに脳梗塞は、以下の3つに分けられます。
このうち、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は脱水との関係性が強いとされ、夏期に発症しやすいとされます。

  1. (1)脳の細い血管に動脈硬化が起こって詰まる「ラクナ梗塞」
  2. (2)脳の太い血管に血栓ができて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」
  3. (3)心臓の血管内にできた血栓が脳に飛んで詰まる「心原生脳塞栓症」
日本人の主な死因の構成割合(令和3年(2021))
日本人の主な死因の構成割合

(出典) 厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より

脳梗塞が夏に起こる原因は?

夏に脳梗塞が起こりやすい理由としてあげられるのが、脱水による体内の水分不足です。
夏には汗を多くかくため、その分の水分を補給しないと、体が脱水症状に陥ります。脱水状態になると、血流が悪くなったり、血栓ができやすい状況になり、血管が詰まりやすくなります。
暑い夏は就寝中に脱水が起こりやすく、また夜間は血圧が下がるため、血流が滞って血管が詰まりやすくなります。さらに飲酒は、尿量を増加させ脱水の原因になります。これらの要因が重なると、夜間に脳梗塞が発症しやすくなります。

脳梗塞の予防策は?

夏の脳梗塞予防には、脱水にならないようこまめな水分補給が重要です。特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなっているので、定期的に水分補給してください。就寝前には大量飲酒をさけ、コップ1杯の水を飲みましょう。
また、夏かぜなどの感染症を起こすと、血液が固まりやすくなり脳梗塞が起こりやすくなります。夏かぜを防ぐことも、脳梗塞の予防対策です。

<夏の脱水状態を防ぐために>

  • こまめに水分を補給する。
  • 夜の大量飲酒は避ける
  • 就寝前にコップ1杯の水を飲む
  • 冷房は適温を保つ

脳梗塞の背景には、動脈硬化が潜んでいます。動脈硬化を進行させるのは高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と肥満です。特に血圧が高いと、血管には常に大きな圧力がかかります。そのため、血管の壁が傷つくなどして動脈硬化が促進します。
1年を通して脳梗塞を防ぐには、生活習慣病対策が必須です。夏が終わっても減塩を心がけ、野菜を多く摂取するなど食生活を改善しましょう。適度な運動も必要です。
また、過度な飲酒は慎み、喫煙者は禁煙を心がけてください。

こんな症状があったら、要注意!

脳梗塞の発症が多い時間帯は、睡眠中と朝の起床後2時間以内とされます。
もし、以下のような症状が急に起こったら、様子を見ないですぐに医療機関を受診してください。脳梗塞は、発症から治療までの時間が短いほど、後遺症を軽減できる可能性が高くなります。また時間が経つほど、半身のまひや言語障害などの後遺症が残りやすくなります。

  • 体の左右どちらかが動かせない、力が入らない
  • 体の左右どちらかがしびれる、感覚が鈍くなる
  • ろれつが回らない、言葉が出てこない
  • 片方の目が見えない、視野が半分欠ける
  • 足もとがふらつく、立てなくなって倒れる
  • めまいが起こる