けんぽニュース&お知らせ

2023年01月17日

冬の血圧には注意が必要です。

年末には各地で雪害が報告され、雪にはまだしばらく用心が必要です。
冬には雪以外にも、注意が必要なことがあります。それは血圧です。
日本では、約4000万人が高血圧に該当するとされ、約3人に1人の割合となります。寒い季節は血管が収縮され、血圧が高めになりがちです。
どんなことに注意すればいいのか、確認してみましょう。

ご自身の血圧を意識していますか?

日本高血圧学会では、収縮期血圧(心臓が収縮したときの血圧)140mmHg以上、または拡張期血圧(拡張したときの血圧)90mmHg以上を高血圧としています。
血圧の高い状態が続くと、血管がもろくなったり、動脈硬化の進行が早まったりして心筋梗塞、狭心症などの、虚血性心臓病の発症頻度が高くなることが分かっています。
また、高血圧によって心臓が肥大することがあります。心臓が肥大すると、全身に血液を送り出すポンプの作用が次第に弱くなり、心不全を起こしやすくなります。高血圧は「沈黙の殺人者(サイレントキラー)」ともいわれ、自覚症状がないまま進行していきます。

血圧は常に変動しており、白衣を着た医師の前で血圧が高くなるケース(白衣高血圧)や、病院で計る血圧が正常でも早朝などに血圧が高くなるケース(仮面高血圧)が知られています。
ご自身の血圧を知るには、医療機関での計測だけでなく、ご自宅での血圧測定も大切です。

血圧値の分類(成人血圧 単位はmmHg)
血圧値の分類(成人血圧 単位はmmHg)

(出典)
特定非営利活動法人 日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子」より

冬の血圧で注意が必要なケースは?

寒くなると、私たちのからだは体温を逃がさないように血管が収縮するため、血圧が上がりやすくなります。また、温かい場所から寒い場所に移動すると、体は体温を上昇させるために血管を収縮させ、血圧が急激に上昇。心臓に負担を与え、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす恐れがあるため、血圧が高めの人は要注意です。
冬の時期に、特に注意が必要なケースを見てみましょう。

冬の朝は要注意!

モーニングサージは、「血圧サージ」(あるタイミングで血圧が急変動を起こすこと)といわれるものの1つです。
健康な人にはゆるやかな血圧の日内変動があり、朝は高くなり夜に低くなりますが、朝目覚める前後に急激に血圧が上がるのがモーニングサージです。眠っているところから目を覚まして、活動的な身体となるための反応ですが、高血圧の人にとっては注意が必要な状態。モーニングサージは、気温が高い日よりも気温が低い日の方がその差は大きいと報告されています。冬の朝は、寝室を暖かくしてから起床する、布団の中で手足を動かして体を温めてから布団から出るなど、室内の寒暖差に工夫しましょう。

お風呂、トイレも注意が必要!

暖かい部屋から、寒い部屋への移動することによる急激な温度変化があると、血圧が上下に大きく変動し、体に負担がかかります。家庭内でも注意が必要なのは、浴室やトイレです。
脱衣所を温めて浴室との温度差を少なくし、トイレ内や便座を温めておくなど、血圧の急上昇を防ぐように心がけましょう。

血圧のために気を付けることは?

血圧に注意が必要なのは、冬だけではありません。高血圧の状態が長く続くと、負担がかかる血管や臓器にさまざまな合併症を起こします。
高血圧の要因は、加齢などの他に生活習慣が深く関わっていることが分かっています。日々の暮らしの中に、予防・改善のカギがあります。健康診断で「血圧が高め」と指摘があった方は、以下のことを心がけましょう。

血圧を上げないための生活習慣

  • 塩分を控える
  • 喫煙者は禁煙を実行する
  • 動物性脂肪を控え、青魚などの魚を積極的にとる
  • コレステロールを多く含む食品を控える
  • 野菜・果物を積極的にとる
  • 適度な運動を習慣にする
  • 飲酒は適量を守る
  • ストレスを上手に解消する