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2024年05月27日

5月31日は世界禁煙デーです。

世界保健機関(WHO)は、平成元年に5月31日を「世界禁煙デー」に定めています。

厚生労働省の令和4年の調査によれば、日本の喫煙率は男女ともに年々減少。もっとも多い40代男性でも34.6%(2001年は55.9%)で、30代男性は2001年より半減しています(2001年58.0% → 2022年29.9%)(※1)。
ここ数年で、多くの方が喫煙習慣を改善しています。
この機会に、禁煙や分煙について考えてみましょう。

※1 出典 : 厚生労働省 「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」より

喫煙者本人の健康影響について

喫煙はがん、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(※2)や結核などの呼吸器疾患、2型糖尿病(※3)、歯周病など多くの病気と関係していることが分かっています。
また、喫煙を始める年齢が若いほど、がんや循環器疾患のリスクを高め、総死亡率が高くなることも分かってきました。

能動喫煙による健康影響(成人の場合)(※4) : レベル1(※5)
がん 肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔・副鼻腔、食道、胃、肝、膵、膀胱、子宮頸部
肺がん患者の生命予後悪化、がん患者の二次がん罹患、かぎたばこによる発がん
循環器の病気 虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、末梢動脈硬化症
呼吸器の病気 慢性閉塞性肺疾患(COPD)(※2)、呼吸機能低下、結核による死亡
糖尿病 2型糖尿病(※3)の発症
その他 歯周病、ニコチン依存症、妊婦の喫煙による乳幼児突然死症候群(SIDS)、早産、
低出生体重・胎児発育遅延

※2 慢性閉塞性肺疾患(COPD) : タバコの煙を吸うことで肺の中の気管支に炎症が起き、セキやたんが長引いたり、息苦しさを感じるようになる病気。気管支が細くなることによって、呼吸がしにくくなることもあり、重症化すると命に関わる。

※3 2型糖尿病 : 2型糖尿病となる原因は、遺伝的な影響に加えて、食べ過ぎ、運動不足、肥満などの生活習慣的な影響があるとされる。

※4 出典 : 厚生労働省 喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書 2016

※5 レベル1 : 「レベル1」とは、科学的証拠は因果関係を推定するのに十分であるものを指す。

喫煙者の周囲の人(受動喫煙)の健康影響について

喫煙者が吸っている煙だけではなく、タバコから立ち昇る煙や喫煙者が吐き出す煙にも、ニコチンやタールなど、多くの有害物質が含まれています。本人は喫煙しなくても、周囲のタバコの煙を吸わされてしまうことを受動喫煙と言います。
受動喫煙との関連が「確実」と判定されている健康への影響には肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)の4疾患があります。この4疾患について、受動喫煙が原因で死亡した人数は年間約1万5,000人と推計されています。(※6)
また、乳がん、慢性閉そく性肺疾患、子どもの喘息の発症と重症化、う歯(虫歯)、低出生体重、 胎児発育遅延、中耳炎といった病気も、受動喫煙と関係があると考えられています。(※6)

※6 出典 : 片野田耕太(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
「たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究」平成27年度報告 より

妊婦への受動喫煙の影響

日本では、女性の喫煙率は男性に比べて低くなっています。令和4年の調査では、喫煙率は男性が25.4%、女性は7.7%(※1)でした。
一方、家庭で受動喫煙の機会が「ほぼ毎日」あった人は、男性7.4%、女性11.6%(※7)と女性に多くなっています。こうした状況から、妊娠・出産への受動喫煙による悪影響が課題となっています。
たばこの煙に含まれる有害物質による影響で、胎児・胎盤の低酸素状態や、胎盤の老化促進・機能低下が起こり、低出生体重児や早産のリスクが高まります。さらに、子宮外妊娠、常位胎盤早期剥離、前置胎盤を引き起こす可能性も指摘されています。
周囲に妊娠中の女性がいる場合は、よりいっそう喫煙することに配慮が必要です。

※7 出典 : 厚生労働省 「令和元年 国民健康・栄養調査報告」より

禁煙を始めましょう

タバコの煙に含まれる有害物質は、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞など、命に関わるさまざまな病気の引き金になるだけでなく、身の回りにいる人の健康にも悪影響を及ぼします。ご自身と周囲の方々の健康のためにも、喫煙習慣のある方は、すぐにでも禁煙に取りかかりましょう。

禁煙は始めて24時間後には、心臓発作が起きる危険性が低下するといわれています。
禁煙後、早ければ1カ月経過段階で、セキやたんなどの呼吸器症状の減少がみられるほか、免疫機能が回復してインフルエンザなどの感染症にかかる危険性も低下することが明らかになっています。

また新型コロナウイルス感染症に関しても、非喫煙者は喫煙者と比較して、重症となる可能性が低いことも明らかになっています。

禁煙の効果
8時間後 血中の一酸化炭素濃度が下がる。
血中の酸素濃度が上がる。
24時間後 心臓発作の可能性が少なくなる。
数日後 味覚や嗅覚が改善する。
2週間~3カ月後 心臓や血管など、循環機能が改善する。
1カ月~9カ月後 セキや喘鳴が改善する。スタミナが戻る。気道の自浄作用が改善し、感染を起こしにくくなる。
1年後 肺機能の改善がみられる。
2~4年後 虚血性心疾患のリスクが、喫煙を続けた場合に比べて35%減少する。脳梗塞のリスクも低下する。
5~9年後 肺がんのリスクが喫煙を続けた場合に比べて明らかに低下する。
10~15年後 さまざまな病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近付く。

出典 : 厚生労働省「e-ヘルスネット 禁煙の効果」より抜粋

他にもある喫煙の影響

子どもの誤飲事故では、たばこが原因となっているものが上位になっています。最近多くなっている「加熱式たばこ」でも、紙巻きたばこと同様に注意が必要です。加熱式たばこのスティックなどは紙巻きたばこと比較すると小さく、誤飲事故も複数報告されています。

また、火災原因でもタバコは大きな割合を占めています。
東京消防庁管内では、令和4年中に発生したたばこ火災は571件(速報値)。全火災件数の約15%を占めています。火種が消えていない吸い殻の投げ捨てから、出火するケースが増加しています。吸い殻はきちんと始末しましょう。

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