けんぽニュース&お知らせ
2025年06月11日
職場での熱中症対策が強化されます。

2025年6月1日より、企業における熱中症対策が法律で義務化されます。熱中症による労働災害の増加に対応し、労働者の安全確保を目的としています。
夏季の気温は年々上昇傾向にあり、暑い期間は長期化しています。職場や家庭など、暮らしのなかで熱中症に注意して過ごしましょう。
職場における熱中症の現状は
「熱中症」とは、高温多湿な環境下で体内の水分および塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節など、調整機能が破綻したりして発症する障害の総称です。
夏季の高温傾向が続くなかで、職場での熱中症による死亡災害が2年連続で30人レベルとなっています。熱中症は、死亡災害に至る割合が他の災害の約5~6倍とされ、死亡者の約7割は屋外作業時です。今後も高温傾向の継続が推測され、さらなる被害の増加が懸念されます。
そこで厚生労働省では、職場において死亡に至らせない(重篤化させない)ための熱中症対策を強化することとしました。
職場における熱中症の災害発生状況
※死傷者数は休業4日以上、死傷者数には死亡者数を含む
(出典)厚生労働省 業務上疾病調べ
職場での対応はどうなる?
2025年6月1日より施行された改正労働安全衛生規則では、熱中症の重篤化を防止するため、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者に義務づけられます。
職場での熱中症による死亡災害は、ほとんどが「初期症状の放置、対応の遅れ」によるものとされています。熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、状況に応じて迅速、かつ適切に対処することが求められます。
対象となるのは、「WBGT28度以上、または気温31度以上の環境下で連続1時間以上、または1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業です。
基本的な考え方
(出典)厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について
暮らしのなかでの対策
熱中症は屋外だけでなく、室内で何もしていないときでも発症し、場合によっては死亡することもあります。
熱中症について正しい知識を身につけ、 体調の変化に気をつけるとともに、 周囲にも気を配り、 熱中症による健康被害を防ぎましょう。
●暑さを避ける、身を守る
屋内では
- エアコンなどで温度を調節
- 遮光カーテン、すだれを利用
- 室温をこまめに確認
- 暑さ指数(WBGT)も参考に
屋外では
- 日傘や帽子の着用
- 日陰の利用、こまめな休憩
- 天気のよい日は、日中の外出をできるだけ控える
●からだの蓄熱を避けるために
- 通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
- 保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
暑さ指数(WBGT)
暑さ指数(WBGT)は、労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISO等で国際的に規格化されています。職場ではもちろん、ふだんの生活でも暑い時期の行動の目安としましょう。
暑さ指数 (WBGT) |
注意すべき 生活活動の目安 |
注意事項 |
---|---|---|
危険 (31以上) |
すべての生活活動で おこる危険性 |
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。 外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。 |
厳重警戒 (28以上31未満) |
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。 | |
警戒 (25以上28未満) |
中等度以上の生活 活動でおこる危険性 |
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。 |
注意 (25未満) |
強い生活活動で おこる危険性 |
一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する 危険性がある。 |